君想歌
沖田の過剰な反応に和泉は
乾いた笑いを漏らす。


「そんなに慌てられると逆に
嫌われてるかと思うんだけど」


「ちちち違います!!
むしろ和泉の事は好いてます」


落ちた手拭いを拾う手を止め
沖田を凝視する和泉。


和泉が誤解したと勘違いし
勢いでとんでも無いことを
口走った沖田は固まった。


「総司、落ち着きなよ」



和泉は飲むつもりだったお茶を
沖田に差し出す。


それを一息で飲み干した沖田は
和泉に視線をこっそり送る。


手拭いを桶に放り込むと
それを持ち腰を上げる。


「ちゃんと休まないと駄目だよ。
土方に言い付けるから」


「まっ待ってください」


背を向けた和泉の袖を掴むと
彼女は沖田を振り返った。


「ん?」

「ちゃんと明日は薬飲みますから」


沖田の言葉にクスリと笑うと
和泉は部屋を出ていった。


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