君想歌
「栄兄ちゃんが和泉お姉ちゃんは
可愛いって」


吉田は小さな子が覚えるくらい
繰り返した言ったのだろう。


「栄兄ちゃん、優しかった?」


隣に座った女の子の名は綾。

吉田の事を覚えている人物に
思わず問い掛けた。


「うんっ!!和泉お姉ちゃんとの
子ども欲しいって言ってた」


「ぶっ」


突拍子もない言葉が飛び出し
吹き出す。


そんな話。

聞いた事も無かったぞ。


「栄兄ちゃん、言ってた。
和泉お姉ちゃんはね。
俺の自慢の恋仲って」


懸命に伝える綾に強く思う。


稔麿と出会えて良かったと。


こんなに愛されているなんて
思いもしなかった。


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