君想歌
川遊びに交じろうとせずに
和泉と話す事と決めた綾に問う。


「川遊び、しないの?」

既に着物を脱ぎ捨てて
水の掛け合いをしている
沖田たちを見ながら尋ねた。

「着物濡らしたら迷惑や」

女の子らしい理由に和泉は
相づちを打つ。

「そっか」

「栄兄ちゃん、何で好きなん?」

子どもらしい直球の質問に
数秒固まる。

やっぱり女は恋話が好きと
思える。

「……成り行きで」

「えぇぇー!!面白ない」


微妙な和泉の返事を聞くと
口を尖らせる。

その綾の名を若い女性の声が
土手から呼んだ。


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