君想歌
斎藤は確か非番だったはず。

「こんな暑い日に外には
出たくない」


差し出された水を一気に飲むと
汗を拭う。


「……一くんも稽古するために
ここに来たんでしょ」


「む。ばれたか」


稽古時の格好をしている斎藤に
ここぞとばかりに頼む。


「お手合わせ願います」

「受けた」


たんっと軽く後ろに飛ぶと
和泉は木刀を構えた。


斎藤は和泉を前に隙のない
様子を見せている。


「行くぞ」


無駄の無い動きで和泉の懐に
飛び込んできた斎藤。

攻撃を受け止め流して。

すぐさま和泉も攻撃に出る。


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