君想歌
最近物騒じゃなくなりましたし
大丈夫ですよ。


そう言えば、和泉は微笑んだ。


池田屋から立ち直れないのも
無理はない。

沖田たちにとっては敵でも
和泉には大切な人だった。

土方は自分の意思を無理して
押さえてる、と漏らしていた。

それが刀が握れない原因、と
考えてもおかしくはない。


「にゃう」

ちょこん、と沖田の膝に乗った
センが鳴き声を上げた。


「すっかり懐いたね」

腹を見せ転がるセンは沖田に
随分と慣れた様子だ。

初めは和泉以外には
近寄りもしなかった。

餌付けでもしたんだろうか。


「そうなんですよ。
相変わらず土方さんには
見つけては飛び掛かってますよ」

笑い事じゃない……。

そんなに嫌いか?土方が。


呑気な顔して沖田の顔を舐める
センを見つめた。


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