君想歌
失うことが怖くなった。


言い出せない恐怖は確実に
心に広がっていく。

吉田が拾ったセンだけではない。


沖田も土方たちも、悠も。


例外はない。

だから、センには鈴をつけた。




柔らかい毛並みを撫でる和泉に
背後から声が掛けられる。


「姉ちゃん、仕事や。
副長が呼んどる」


「了解」


立ち上がった和泉に
センは飛び上がる。


伸ばされた腕の中に収まると
尻尾を振った。


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