君想歌
「ミツ殿は、副長が唯一
苦手とする女性だ」


「斎藤っ」


余計なことを言うな、と
土方は斎藤をたしなめる。


「近藤さんがな?
和泉の事を文に書いちまって。
会いに行く、と……」


苦々しく告げる土方は
頭を引っ掻く。


「とにかく、だ。
ミツは他の女とは違う。
和泉に世話頼みてぇんだよ」


「別に断りはしないですよ?」


「頼む!!」


「わわ……っ」


身を乗り出し懇願する土方に
反射的に後ろに仰け反った。



.
< 605 / 633 >

この作品をシェア

pagetop