君想歌
和泉は明日に備え早めに眠り。

土方は眠れぬ夜を過ごし。


明けた夜。


「姉上〜!!」

「宗ちゃん、元気にしてた?」


感動の再開を前に益々
隣に立つ土方の顔が引きつる。

「悪い。無理だ。頼む」


短く和泉に告げ屯所内に
戻ろうと踵を反す。


「歳三さん」

おっとりとした声とは逆に
行動は荒い。


ガシッと掴まれた土方の襟首に
唖然とするしかない和泉。


青くなった土方は動きを止めた。


にこやかに笑うミツは
和泉に微笑む。


「後でゆっくりと。
お話し伺いますから」


「…………分かった…」


脅しとしか取れない言葉に
その場は一気に凍りついた。


「さ、和泉ちゃん。
行きましょ」


そんな雰囲気を物ともせず
ミツは和泉の腕を引っ張った。


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