君想歌
客間に着くと意外な人物が居り
和泉は居ずまいを正す。


「ミツさんも和泉くんも。
座ってくれ」


和泉に楽にするように言い
近藤はミツを懐かしそうに
目を細めて眺める。


「驚きました。
女子禁制の組に女の子が
居るっていうんですもの」

お茶でも持ってこようか、と
腰を上げようとした和泉だが
ふと背後に視線を向ける。


少しした後、開いた襖から
山野が姿を現し盆の上には
冷茶が乗っていた。


「和泉さんも、どうぞ」

ご心配なく、和泉さんの助けは
俺がします。


そう目で訴える山野に
脚を崩した。


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