君想歌
両親が無差別に殺されたと思い
やっと見つけた敵を討った矢先。

分かった事実。

あぁだから、と素直に納得が
できた自分が怖かった。


「なのに新選組に入ってるって
可笑しいよね。
だって、考えたら敵じゃん?」

「和泉が敵じゃないから
良いんじゃないのかな。
例え親が長州側であっても」


そうなのかな……?と
吉田を見上げる和泉に頷く。



「私も殺されるはずだった。
だけど……」

降り下ろされた刀を直前で
防ぎ和泉を背中に隠した誰か。

「……助けてもらった。
キミは死んだらダメだからね、って言われて」


それがあったから。

親の後を追って死ぬなんて
馬鹿みたいなことはしなかった。




「ねぇ。あの時。
栄太郎が助けてくれたの?」


和泉の口から出た言葉に
吉田は目を見張った。


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