君想歌
葉月屋の前には総司が
俺たちを待っていた。

他の奴らは斎藤に任せて
一足先に俺らは屯所に
戻る事にした。


「和泉、寝てるんですか?」


俺の背中で寝ている和泉を見て
小声で総司は訊ねる。


「夢見がかなり悪かったらしい。
酒飲んだからだろ」


確かに顔色が若干悪いですね。


「これ和泉の着物じゃ
無いですよね?」

背に掛けられた羽織を沖田は
見たことが無い。


「和泉の男も来てたんだよ。
そいつが掛けた」


「そうですか……」


僕が掛けたかったです。


「コイツの夢見の悪さは
どうにかならねぇもんか……」


溜め息混じりに言った
土方に沖田も同じように頷いた。


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