Dead Love Children
 どうしてそこまでモモカのことを気にかけたのか、実は自分でもよく分からなかった。

 取り合えず、イジメを目にした瞬間止めなくちゃと思ったのは事実で、弱い者イジメをする奴らが殺しても殺し足りないほど憎かった。

 好きと言うよりは、それはきっと俺の生い立ちが関係しているはずだった。

 うちのオヤジはアル中だった。

 俺が小さかった頃から、酒ばかり飲んでいたし、それを飲む度に暴れた。

 だから家の中はもうメチャクチャだった。

 小さな頃から何度も暴力を受け命の危険を感じていたから、俺は自分の身は自分で守らなければいけないと思うようになっていた。

 オヤジのことはいつか殺してやろうと思っていたのに、俺が中3の時に、オヤジは人に暴力を振るって警察に捕まった。

 残されたのはノイローゼの母親とうちにまつわる悪い噂だけだった。

 母方のじいちゃんが土木会社の社長をしていて、そこから毎月お金が送られて来るから生活費の心配はしなくてすんだけど、今まで仲の良かった友達が、オヤジが捕まった途端、俺に冷たくしだしたから、俺はそいつらにものすごく頭にきた。

 そういう経験があるから、俺はモモカのことを守ろうと思った。

 高校2年の夏休みの終わりに俺は学校を辞めたけど、たまに会って話しでもすれば元気になるだろうと考えて、モモカとは定期的に会うようにしていた。

 自分のために言っておくけど、これに下心はなかった。
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