Dead Love Children
 俺が学校を辞めてから2カ月たった時のことだった。

 バイトからの帰り道にたまたまモモカを見かけたことがあった。

 道端にスクーターをとめて、

「おう、久しぶり」

 と声をかけてみると、モモカがこれ以上ないくらいやつれた顔をしているのに気付いた。

 そのくせ俺の顔を見るなり、

「ああ、タケシ君」

 と無理をして笑顔を作ろうとするから、俺は心配になった。

「何かあった?」

 と思わず聞こうと思ったけど、やっぱりやめた。

 イヤなことを思い出させるわけにはいかないからだ。

 どうしようか考えた俺だったけど、空を見てだんだん暗くなり始めているというのを確認すると、スクーターの後部座席の部分をパンパンとたたいてこう言った。

「まあ、いいから乗れよ。俺が家まで送って行くから」

 そうするとモモカはマジメだからこう言った。

「スクーターって2人乗りしていいんだっけ?」

 俺はどうしてもモモカに乗ってもらいたかった。だから、

「原付は2人乗りダメだけど、スクーターなら大丈夫だよ」

 とウソをついた(スクーターも原付)。

 それでもモモカは乗り物には詳しくなかったみたいで、簡単に俺の言うことを信じた。

 モモカが後部座席に乗ったのを確認してから、

「じゃあ、行くかな」

 と言ってヘルメットを渡し、あとはエンジンをかけアクセルを踏んだ。
< 7 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop