Dead Love Children
 スクーターが前進する。

 10分ほど進んだところで、T字路を左に曲がった。

 モモカの家に行くためには道を右に曲がらなければならないから、俺が左に折れた瞬間、

「あれ、タケシ君、どこ行くの?」

 とモモカはちょっと警戒したような声を出した。でも俺は、

「いいから、いいから。モモカに見せたいものがあるんだ」

 と言うと、そのまま道を進み、小さな山の中へと入って行った。

 山は小さかったから10分もしないで頂上に着いた。

 スクーターを止めてモモカを下ろす。

 近くに自動販売機があったから、そこで2人分の飲み物を買い、

「はい」

 と飲み物をモモカに渡した。

 それを受け取りながらモモカは、

「ありがとう」

 と俺に言ったけど、少し不安がっているのは顔付きで分かった。

 だからモモカを安心させるために、

「言っておくけど、あれだからな。お前に変なことをしようと思ってここに来たわけじゃないからな」

 とそう言って俺は空を見上げてみた。

 そうしたら丁度良いころあいだ。

 夜空を指差し、

「この景色モモカにあげるよ」

 と言うと、モモカは「え?」という表情をして顔を上げたあとに、

「うわー」

 という声を上げた。
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