春恋
汚れた血
目が覚めたら新しい部屋だった
ふかふかのベッドに可愛らしいデザインのカーテン。
駆け足で自分の過去を知る
覚悟はしていた。どんなひどい親でもいいから知りたかった。
虐待していた。とか、育てられないから捨てたとか、そんな感じだと思っていたのに。
帰りの車では、黒崎さんが申し訳なさそうに手渡してきたのはDNA鑑定書と封筒。
「美鈴様の計らいで真嗣様には愛美様も助からなかった、と伝えてあります。
そうでなければ、彼はあなたのことを守り抜いたでしょう。旦那様の魔の手から、
愛美様、冬休み中は今から向かう屋敷で過ごしてもらいます、
生前、真嗣様が使用されていた部屋もあります。」
旦那様には会ったことがない。
会うな、とも言われていないが。会いにくいとも思っていた。
「おはようございます」
「おはようございます。すみません、あなたは……?」
いきなり入ってきた女性は丁寧に頭を下げて薄いカーディガンを愛美に渡してきた。
「愛美様のお世話係になりました。一ノ瀬香織と申します。」
「お世話係………?」
「平たく言えば、黒崎さんみたいなものです。ま、私はあそこまで完璧ではないですけど」
一番最初のお辞儀はどこへ?と思うくらい雰囲気が変わる。
「それよりー、聞きました?
旦那様がめぐめぐの事嗅ぎ付けたって!」
「いや、起きたばかりだから。それにめぐめぐ?」
「あ、そーですよねぇ!
でも旦那様には気をつけてね!!優しそうな雰囲気可持ち出しときながらきっつぅうい事言うから!」
「そうなんだ、」