ミルクティー
その丘からは、自分が生活している町が見渡せる。
私はこの場所が好きだ。
大好きな思い出がたくさん詰まってるから。
幼稚園の頃は楽しかったな…
幼馴染みの昂(タカシ)と、昂のママと私のママとたくさん遊んだ。
あの頃は、お父さんも遊んでくれて、両親もまだ仲がよくて。
今思えば、一番幸せな時間だった。
だからこそ、余計に私を悲しくさせた。
あの頃とは違って錆び付いた遊具が。
きれかかった街灯が。
真っ暗な夜空が。
あの頃とは違うんだって、時間が戻ることはないんだと残酷に伝える。
ヒュー…
風が冷たく吹き付けてきた。
このままだと、風邪を引くかもしれない。
いくら一旦家に帰りたくなくなっても、そこはまだ小学六年生。
自分ではどうにかできない、誰かに助けてもらわなければならないことがたくさんある。