ミルクティー




久々に合った目は、真剣で、でもどこか頼りなげに、すがるように私を見つめていた。


少しだけ、どきりとした。
なんだか知らない男の子みたい。


「な、なによ…」


視線に耐えきれなくて、なんとなくそらしてしまう。


「俺は、どんな男よりもお前のことを一番知ってるっていう自信がある。」


「ま、そりゃ幼なじみ…」


「茶化すな」


「…あい」

恥ずかしくなってつい口をついて出た発言は一蹴された。



「今回のこと、ほんとは焦ってた。
…俺の知らないお前がいる気がして。
あー、その、狩野と別れたのは正直嬉しかった。」


「え、ちょ、今までの感動は!?」


「けど、傷つくお前を見るのは辛かった。」


「!」

少し俯いた様子は、まるで私と一緒に傷ついているようだった。



「俺は、お前を傷つけたりしない。
お前がどんなことで喜ぶのか、悲しむのかも全部知ってるから。
だから、だ、から…」


「…だから?」

昂は伏せていた顔を上げ、決意をしたように、その感情を私にぶつけた。



「─俺の側に、居ろよ。」




< 16 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop