ミルクティー
もうすぐ始まる冬休みに浮き足立つ、とある昼休み。
俺は底冷えのする渡り廊下を渡り、生徒会室に向かっていた。
…全く、指示しなきゃ動けねぇなんて本当に使えない連中。
なんて心のなかで毒づくが、生徒会長としての顔を潰すわけにもいかない。
ああ、癒しが欲しい…
癒し…癒しか…
思い出すのは、ついこの前まで隣にいた、あの子。
「見て、狩野先輩だ~!」
「ヤバイ、超かっこいい!!」
道すがら、俺の顔を見てキャーキャー言う女子たちに愛想笑い向けつつ、思考は別のところにあった。
ふと、足が止まる。
そういえば、あの子との出会いも、この場所だったっけ。
俺が知る女の中で、一番純粋で、守りたくなるような女の子。
そして唯一…自分から別れを切り出した相手。