ミルクティー
─────…
びゅうっと強めに吹いた風が、俺を現実に引き戻す。
…こんなこと考えてる暇ないだろうが。
今さら、あほらし。
それより、仕事。
このままだと、昼休みが…
「…あの。」
その場を立ち去ろうとしたら、声をかけられた。
なんだ、今日は厄日か。
これから俺は仕事なんだよ…!
イラつきながら振り返ったが最後。
「なにか用………っ!」
「お久しぶりです、"狩野先輩"。」
「君は…」
そこにいたのは、水野さんの幼なじみだった。
少し後ろには水野さんもいて、これから言われることを想像して、どきりとした。
それにしても、相変わらず皮肉のこもった言い方をするやつだ。
あいにくそれを見過ごせるほど俺も大人じゃない。
「ああ、いつかの"幼なじみ"くん?
なにか用かな?」
同じように返してやると、途端に不機嫌になる。
分かりやすいやつ。
「─話があるんですけど。杏のことで。」
っ…
そういえば、前もこんなことあったっけ。
押しやった記憶がまた頭のなかを駆け巡る。
きっと今日は、厄日なんかじゃない。
俺が、水野さんが。
そして目の前の彼が、けじめをつける日だ。
──────…