ミルクティー
水野さんの幼なじみに声をかけられたのは、俺と水野さんが付き合っているという噂が流れ始めてすぐのことだった。
「…あの。」
その時も、文化祭関係でてんやわんやしているところに足止めを喰らって、イライラしていたことを覚えている。
「何か用??俺、急いでるんだけど。」
すぐそこの角を曲がれば、クーラーの効いた会議室にたどり着くのに。
なぜわざわざこの熱の籠った廊下で立ち話しなきゃならないんだ。
非難めいた視線を浴びせてみるも、どうやら彼は引くつもりが無いらしい。
「俺、杏の幼なじみです。
杏のことで話があるんですけど。」
杏。
あー、水野杏里か。
3日ほど前にできた、俺の彼女。
全く気に止めていなかったので、突然湧いて出てきた幼なじみに多少面食らった。