ミルクティー
水のような君
翌日、俺はさっそく水野杏里に接触してみることにした。
「え、なんでうちのクラスに狩野先輩が!?」
「先輩、水野さんの彼氏らしいよ!」
「うわ、実物かっこよすぎ!」
昼休み、彼女のクラスに行くと、想定していたものの、とにかくうるさい。
女子に聞くと面倒そうなので、ドア付近にいた近くの男子に声を掛ける。
「水野さん、いるかな?」
「あ、はい。呼んできます。」
男は話が早くて助かる。
ほどなくして、驚きやら緊張やらでガチガチに固まった水野杏里が現れた。
「あ、あ、あの、何かありましたか??」
「そんなに固くならないで。
せっかく付き合い始めたのに、連絡先交換してなかったでしょ?
聞いておこうと思ってね。」
周りに聞こえるように、付き合い始めた、を強調してみると、案の定周りはざわつき水野杏里はさらに真っ赤になった。
「は、はい!」
「…よし、これで好きなときに話せるね。」
「は、はい!」
おい、さっきからまともな返しがねぇぞ?
この先大丈夫かよ、こいつ。
まあでも、今日はあと一押し。
俺は、今度は二人にしか聞こえない声で、水野杏里の耳元に告げた。