ミルクティー
先輩がいなくなったことで、私はこの店にひどく場違いになった気がする。
「…帰ろう。」
そう呟いて、私は店を出た。
…結局、あいつの言った通りだったじゃんか。
自分が情けない。
─────────…
狩野先輩との出会いは、高校の入学式の時だった。
出会った、というよりは私が見ただけだったのだけど。
生徒会会長の彼は、入学式での挨拶を行った。
その爽やかなルックスと美声で、早くも一年たちの心を掴んだ。
私もそんな女の子たちの一人だった。
今まで、恋愛なんか興味なかった私が夢中になった人は狩野先輩がはじめてで、私はこの気持ちに浮かれていた。
『うわあ!狩野先輩だー!
かぁっこいいぃーーー』
見かけるたびに、友達と騒いだ。
そんな私にチャンスが訪れたのは、あいつに言われた言葉だった。