ミルクティー
先輩のお願いなら。
そう思って周りも見ずに突っ走っていた。
─本当は、薄々気がついていたんだ。
先輩は私のこと好きじゃないって。
だって、恋人らしく手を繋いだことがない。
キスもない。
ましてや、恋人らしい会話や、好きとさえ言われたことがない。
先輩の愛情が見えないから、ちゃんと自分を見てもらいたくて必死だったんだ。
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────…
気がついたら、外はバイオレットの空と身が凍るような寒さに包まれていた。
それでも私は家に帰ることが出来ず、自然と足は、あの丘に向かっていた。