悲しい目でボクを見ないで
1.彼氏
 窓から差し込む日差しが眩しく照り付ける君の部屋。相変わらずのお寝坊さんな君はまだ夢の中。何の夢を見ているのか、時折うなされたような声が聞こえて、同時に外からはうるさい電車の音がして。
 何だかけだるい、朝。

 やがて鳴り始めた目覚ましがわりの携帯のアラームも、その電車の音が消し去ってしまって君はまだまだ夢の中。

 何とか起こそうと声をかけようとしたけど、僕の声は君には届かない。

 だって僕は人間じゃないから。

 何度願っても人間になれなかったから。


 だから今日も心で思うだけ。早く起きて、遅刻するとまた生活指導のデブメガネ先生に怒られるよ。デブメガネに怒られた日は決まって機嫌が悪くなるんだから、ねえ早く。

 早く起きて。

 僕の応援虚しく。
結局君が起きたのはアラームが鳴ってから1時間もしてからだった。
 当然ブタメガネに怒られたみたいで、帰ってきて早々鞄をベッドに投げ付けた音が聞こえた。

 その後はいつもの通り、僕を抱えて目をそらした。

 君の、変なクセ。
僕を抱えたって何も変わらず機嫌も治らないのに、何かイヤな事があったりすると必ずやるんだ。

 頼ってもらえて僕は嬉しいけれど。
 結局君の怒りも悲しみも消せないと思うと心のどこかで僕は落ち込むのに。

 僕の気も知らないで。
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