悲しい目でボクを見ないで
 君のため息の謎はその夜のユキちゃんとの電話であっさり解けた。

「うん、中野君が放課後教室で待っててくれって言うから待ってて、それで」

 どうやらその中野君という奴に告白されたみたいだった。
でも君はその中野君って奴には全然興味無いのか、

「悩んでるっていうか…断るつもりではいるんだけどね」

 と、歯切れの悪い言葉を言った。

 断るつもりではいる。
それは人の申し出を断るのが下手な君の、精一杯の返事だったに違いない。

 もっと喜んでもいいのに。
きっと今話しを聞いてるユキちゃんだって、他の同年代の女の子だって、誰かに告白されたらきっとそれが誰であっても少なからず喜んだりして、自慢だって出来るはずなのに。
 君の顔は、全然嬉しくないって感じの顔。

「確かに中野君はカッコイイと思うけど、今まで全然意識したことなかったし、話したことだってほとんど無かったんだよ? 急にそんなこと言われても、ねぇ」

 その言葉の後すぐ、小さな音で、

「そんなこと言ってるからいつまでたっても彼氏出来ないんだよ!」

 というユキちゃんの声が聞こえた。
僕が聞こえるぐらいだから、電話を耳に当ててる君からしたら本当に耳に痛いぐらいの音量だったに違いない。
 案の定、君は電話を少し耳から離して怪訝な顔をした。

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