The last kiss
・・・どうしよう?連れて帰ろうかな??
でも家、お母さんが動物嫌いだし・・・
『ニャー・・・ニャー・・・』
猫は切なそうに寂しそうに鳴いていた。
まるで“助けて”って言ってるみたいに・・・
・・・う~・・・どうしよう??
でも、家は・・・
「大丈夫か?」
私が迷ってると誰かの声が聞こえた。
驚いて捨て猫がいる方角に目を移すと、そこには男の子が立っていた。
歳はそう、私と変わらなさそうだけど私と違って大人びた顔立ち。
髪は少し伸びたのを耳にかけていて、まるでベタ塗りをしたような綺麗な素質の黒髪。
背丈は、たぶん私よりも10センチほど高くて
猫を抱き上げたその手は大きくて男らしさを漂わせていた。
・・・そんな彼に私は顔が赤くなりながらも
見惚れていた。
「お前、捨てられたのか?」
『ニャー・・・』
「酷いことするよな。急に突き放すなんてさ」
『ニャー・・・ニャー・・・』
「わかるよ。お前の気持ち。・・・俺も・・・同じだからさ・・・。」
・・・??猫と話してる??
それより、“俺も同じだからさ”そういった彼の顔がなぜか、すごく
切なくて苦しくて
いとおしくて・・・
私は、なぜか衝動的に走り出していた。