オレンジ色
 休日。家でごろごろ。これが休日の基本だ。

でもそういう毎回こういう感じ、っていうのもイライラしてくる。

 今日はどこかへ出かけようか。カズでも誘ってまたゲーセン行こうかな。

でも、休日じゃないとあいつは母親と一緒にいられないんだよな、って思ったら。いつも誘えないままだった。

「いいや・・・一人で買い物でもして来よう・・・」

 財布だけ持って出かけようとしたら、南風のはずなのにどこか冷たい風が吹いていて上着を取りに一度部屋に戻って、出かけた。



 一人で出かけるのは割かし好きな方だ。何にも縛られなくてすむ。

人の意見を聞いて惑わされることもなく、行きたいとこ行って食べたいもの食べて。

やっぱりどこか人に遠慮しながら買い物とかって。そんなのは友達がいる時にすればいいこと。

 ウィンドウショッピングして、シルバーアクセの店とか服とか。

“この服で女の子の注目は間違いなく君に!”とか書かれた看板に苦笑いを浮かべた。モテるモテないは服のせいじゃないと思うんだけどな。

 しばらく歩き回って、ちょうど昼時頃。メシを食おうとFFに入ったら、当たり前だけど満員で。仕方がないからテイクアウトで頼んでそのへんで食べることにした。


 このぐらい気ままな時間が好きだ。


 ちょっと距離はあるかもしれないけど、街の中央に噴水の公園がある。そこで食べよう、なんて、自分で決めてわくわくして。

 この気ままさが、やっぱりいい。


 そういえば公園には、いつもやめればいいのにハトにエサをやるおじいさんがいる。

あの人のせいで周辺住民は鳥のフンに悩まされる日々を送っている。やめればいいのにって思うけど、きっとエサをやることは、そのじいさんにとっては大事なことなんだろうな。

 人それぞれ大事なもんなんか違うから、俺がどうこう言うことじゃない。


 ほら。やっぱり。


じいさんはいつものようにハトにエサをやってる。

俺はそれをボーっと見ながら、噴水の前のベンチに座った。

 じいさんの周りにはいつもたくさんのハト。愛されてるんだろうな。

 俺とは大違いだ。
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