オレンジ色
「・・・あ。」


 声がした気がした。
 けどその声は俺が出したものだったかもしれない。

「よく会いますね。」

 制服じゃない、おぼっちゃまが目の前に立ってた。

「別に会いたくて会ってるわけじゃない。」

「それはこっちも同じです。」

 奇遇にも俺と同じ紙袋を抱えてる。こいつもFFでテイクアウトしてここで食べようって魂胆なんだろうな。

 こういう状況はちょっと苦手だ。隣座れよって言えばいいんだろうけど。

そのタイミングがどこなのか、俺はつかめない。

「どうせなら、一緒に食べよう。」

 そう言ったのは、向こうだった。


 これで会うのは4回目になる。

 一度目は本屋の前で一瞬だった。二度目は本屋の中で本を探す姿だった。三度目は昨日のFFでの一件。

 4回目はお互い私服だった。

学校のヤツと私服で会うと変な感じがするけど、こいつは特に変な感じがする。

学生にとって制服ってのはある意味防具だ。周りの外敵から守るための防具。今はお互いその防具を身につけていない。

 どう攻撃されても、俺はそれをくらうことになる。


 こんなヤツの攻撃、どうだっていいけど。
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