オレンジ色
「今、恋人いんの?」

 流れで女の子のタイプの話になったついでに聞いてみた。

「一応ね。」

 一応いるってことは、うまく行ってないってことかと思って、それも聞こうとしたけど。

 そこまで踏み込む理由がわからなくて。

「ふーん」

 ぶっきらぼうな返事をした。

この返事をいつか後悔する日が来たりするんだろうかなんて。ドラマみたいなことを考えながら。

「だったら公立の女がかわいいかどうかなんて、聞かなくてよかったのに。」

 独り言のようにつぶやいた言葉に。

「あいつらとの付き合い上、聞かなきゃいけなくなっただけだよ。」

 さらりとそんなことを返された。


 手に持ったバーガーを落とすとこだった。


友達とかそういうこと考えてないんだ。昨日いたワイワイ騒いでたあいつらは、この人にとっては付き合いでしかなかったんだ。

「あんた友達いないだろ。」

「いるよ?」

「ふーん」

 どっからがあんたにとっての友達なんだ、と。心の中で問いかけながらバーガーを口に運んだ。


「名前。」

 バーガーを加えたまま目を合わせる。

「名前教えろよ、せっかくだし。話してて君のこと呼びにくい。」

 瞬間、適当に今名前を作って嘘の名前を言ってやろうかと思った。

「星崎。」

「下は?」

「必要あるのか?」

 どうしてかわからないけど、出来るだけ、こちらの情報を教えたくないって思った。
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