オレンジ色
俺より高い身長。
俺は下を向いて歩いてたけど、祐也は上を向いて歩いてた。


 正反対。

好きな物も別に一致しないし、考えてることも全部逆。変な感じ。

 ここから家まで20分ぐらい。早く終わってくれと心の中で願った。

「そういえば、シンって何年?」

「何年って何が。」

「高校。2年?1年?」

 さっそく“シン”なんて呼ばれて少し不愉快だ。

「1年。」

 反抗することもなく答えた。

「じゃ、一個下なのか。」

 ということは祐也は2年なのか。

タメだと思ったことはほとんどなかったから、別に驚きもしないけど、だからと言って敬語でしゃべろうとも到底思わなかった。

「悪いかよ。」

「悪いなんて言ってないよ。ただ、口数少ないんだなって思って。」

 それと年齢とどう関係があるんだ。性格の問題だろ。

「俺が気にくわないなら一緒に帰らなくていいよ。」

 なんとなくそう口にしたら。

「強情張り。」

 なんて返して来た。これには俺も少し怒って

「性格なんだから仕方ないだろ!」

 と返してやった。でも相変わらず祐也は薄く笑って。

「そうかもね。」

 一言だけそう言ってきた。


 俺を怒らせたいのかと思うような発言がいっぱいあったのに。


 俺が怒れば怒るほど祐也は笑った。

人が怒るのがそんなにおもしろいのかと言ってやりたかったけど、俺が怒った後に見せる笑顔の中に、俺をいじめて遊んでるような雰囲気はみじんも感じられなかった。

 だから言えなかった。

本当に祐也は楽しんでいるように見えた。俺との会話とか、俺が怒ることも、俺の反応そのもの、俺と帰ってることを、楽しんでるような気がした。


 いい迷惑だ。



 心の中だけ、俺はそれでも強情を張った。
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