オレンジ色
「おい、シン。昨日のって誰だったんだ?」


 次の日。学校へ行くなりカズにそう切り出された。

「カズ、何で帰ったんだよ。あのあと最悪だったんだぞ。」

 言ってから、カズの質問に答えるのを忘れたのを思い出した。

「知り合いみたいな人だよ、あいつは。」

 慌てて答えたけど、カズを混乱させてしまったかもしれないと、少し後悔。

「知り合いみたい・・・?みたいって何だよお前。」

 みたい、は、みたい、だ。知り合いって呼ぶほど知ってるのかもわからない。

 かと言って友達ではない。

「何で昨日帰ったんだよ、カズ。」

 カズの質問に答えるのは、やめた。俺だってわからないんだ。

「何か俺邪魔そうだったからさ。」

「邪魔って何だよ」

「俺の知らない人だったし、お前もあの人も話したそうだったから、だったら俺いない方が話しできるんじゃないかと思って。」



 俺も祐也も話したそうだった?
 どこがだ?



「俺は別にあんなヤツと話したいなんて思ってない。」

 そう言った俺に。

「嘘つくなよ。お前の顔見りゃわかるよ。何年一緒にいると思ってんだ。」

 嘘なんかついてない。俺は本当にあんなヤツと話したいだなんて思ってない。

それとも、俺よりカズの方が俺のこと詳しいっていうのか?そんなことあるはずない。

「本当に話したいなんて思ってなかったよ。」

 そう抵抗した俺に、カズが。

「お前は自分でも気付いてない自分の感情が多すぎるんじゃないか?
 周りから見たら、すぐわかるぞ。」


 そう言った。
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