オレンジ色
「最近、この近くに住んでる奴と知り合ったんだ。」

 2、3回目の角を曲がったところで、そう言った祐也の声が聞こえた。

「へぇ。高校生?」

 興味なさそうに相槌を打つ彼女の声も、響いてきた。

「うん、一個下だってさ。すごいかわいい奴なんだよ。」

 妙に自慢気に話されて、少し腹が立ってきた。俺はお前の自慢道具じゃない。

「かわいい…って、性格が?顔が?」

「どっちも。」

 俺が、かわいい?かわいいなんて言葉は、男に使う言葉じゃない。

「私も会ってみたいな。」

 言いながら祐也の方を見た彼女の横顔は、やっぱりかなりの美女だった。

 サラサラの長い髪が風に乗ってふわふわ揺れてる。

「ダメ。」

「どうして。」

「どうしてもダメ。」


 そこまで否定するっていうのはやっぱり。
 自慢しときながら俺がダサダサ男だってわかったら彼女の評判下げるからか?

「いいじゃない、あなたの友達なら私も友達になりたい。」

 それでも彼女は引かずに懇願する。やめといた方がいいと思うけどな、俺なんて。



「俺は君のそういうとこが嫌いだ。」



 !?

 彼女の向かってそんなことを平気で言えるって、どこかおかしいだろ。

言われた彼女はそのまま黙り込んでしまった。当たり前だ。そんなこと言われてそれでも押せる子なんか早々居やしない。

 一体こいつは何を考えているんだ?



 男として最低だ。
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