オレンジ色
 それ以上尾行するのはやめた。俺は来た道をとぼとぼと戻り始めた。


頭の中ではそれでも何回もさっきのセリフが浮かんでいた。そういう奴だったのか。

人の痛みもわからないで、平気でそんなことを言うような、そんな奴だったのか。

 心のどっかで薄々感づいていたような、そんな結果だった。



 あんな奴と知り合わなきゃよかった、と。変な怒りが込み上げてきた。



 家に着いたのはカズと別れてからもう1時間も過ぎた後だった。

案の定カズは一度電話をかけてきてくれたらしい。でも、カズに電話する気にはなれなかった。衝撃っていうか、単純にショックだったのかもしれない。

 彼女にフラれた時みたいな、そんな気持ちのまま、宿題をやった。

怒りと一緒になって、涙も出て来そうになったけど。どんな意味の涙かもわからないし、それより、あいつのタメに泣くことがバカバカしくて、下唇をかみしめた。
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