オレンジ色
「なぁ、シン?」

 あと2問で答え合わせが終わるとこで、カズが俺を呼んだ。

「んー…何?あ、お前ここ間違ってるぞ。」

「俺、好きな奴がいるんだけどさ。」

「ふーん……あれ、お前この問題も…って、…ええっ!?誰!?」


 突然のカズの告白。突然すぎて、心臓が口から出そうになった。


「えっと・・・その、相沢。」

 照れながらも、それでもカズはキッパリと言った。

 相沢はうちのクラスの、かわいいとは到底言えないようなポッチャリ系の女の子だ。

男っぽい性格で今も教室のスミで他の女の子達と騒いでる、明るい奴。

言われてみれば、相沢とカズはよくしゃべってたような気がする。


「いつから?」

「1ヶ月ぐらい前から。」

 その間、ずっとカズは一人で片思いしてたってことか。

「もっと早く相談してくれて良かったのに。」

 相談してどうこうなることじゃないけど、一人で悩むよりスッとするし。

「俺だって、好きなのかどうか今までわかんなかったんだよ。ただ、気になってて。」

 恋の始めって、やっぱりそうかもしれないと、言われて納得した。

「で、どうして好きだって、わかったんだ?」

「気付いたら、いつもあいつん家の前通って帰ったり、してて。目が勝手にあいつのこと探したりしてる事に気が付いて、ああ、好きなんだな…って。」

「!」


 それは、どこかで見たような光景だと思った。

いつもあいつん家の方を気にしてたり、気付いたら探してたり、か。

でも、違う、俺のは違う、そんなんじゃない。



「シン?…もしかして、シンも相沢のこと…」

 俺が黙ったのを見て、小声でカズがそう言って来たから

「俺はもっと女の子っぽい子の方が好みだ。」


 少し声を大きくして答えた。
 自分の胸にも、聞こえて欲しかった。
< 23 / 87 >

この作品をシェア

pagetop