オレンジ色
 オレンジ色の空の下を、一人で歩いた。


今日はカズは委員会があるとかで一緒に帰れなかった。一人きりの道がこんなに広いだなんて、久しぶりに感じる感覚だった。

 商店街を抜けて、綺麗に並んだウィンドウの中のマネキンに目もくれずに、住宅街に入った。白い壁が多いこのへんの住宅は、オレンジ色に染まっていた。

 オレンジだらけのオレンジの町。

オレンジ色は嫌いじゃない。暗い色なのに、明るくて、俺みたいだ。

暗いことばっか考えてるのに、友達の前で一生懸命嘘ついて明るくして。



 うちの前の交差点で足を止めた。



“気付いたら、いつもあいつん家の前通って帰ったり、してて。

 目が勝手にあいつのこと探したりしてる事に気が付いて。ああ、好きなんだなっ…て。”



 立ち止まったまま、空を見つめて、胸に手を当てた。



 恋って…何だ? 
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