オレンジ色
 少し冷たい風が吹く商店街を、カズと下校。

そう、どんなに俺が祐也のいる風景を思い浮かべても、これが現実だ。


「なぁ、カズ。恋って、何だ?」

 ずっとわからなかった疑問。どうしてこんなに考えてしまうんだろう。

「何って言われてもなー。好きってことじゃん?」

「じゃ、好きって、どんなの?」

 俺の追い打ちの質問に、カズは、うう~ん、なんてうなりながら腕を組んだ。

「その子と一緒にいたいとか、突然会いたくなったりとか、そういうことかな?」

 疑問に疑問で返したカズの言葉に、色んなことを浮かべる。



 会いたいって思ったことはない。
 一緒にいたいって思ったこともない。


 ただ、会えたらいいなって思ってただけで。それはへりくつなのかな。


「好きな人でもできたのか?」

「わかんない」

 どんなのが好きな人でどんなのが好きじゃない人なのか。

それがわからないと、俺の中のモヤモヤはいつまでたっても解決しない。


「こういう風に思って、こうしたいから好きなんだ、なんてのはないと思うぞ。気付いたら好きになってて、でも何で好きなのかわかんなくて、そういう感じじゃない?」


 付け加えるように言ったカズの言葉に、思い当たる節がいくつもあることだけわかった。でも、これが好きってことなのかって言われたら、それは違うような気がする。

 第一、男同士でそんな感情は、生まれない。

「相手どんな人?」

「いや、いい。やっぱり勘違いだった。」

 だいたいどうして、祐也の事考えてて“恋”なんて言葉が出てきてしまったんだろうか。きっとカズが相沢のこと好きだって知って、俺は焦ってるんだ。そうに、違いない。
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