オレンジ色
3.ドツボ
「で、どうなのさ。進展はありそうなのか?」


 俺が言いたいこと全部言い終わると、カズはそう聞いて来た。

ハッキリ言って、進展なんかどこにも転がってなさそうな今の状態の俺は。

「ダメだと思う。」

 それしか言えなかった。

 何がダメなのかなんてわからないけど、ただ直感的にダメだと思った。


向こうには綺麗な彼女がいて、こっちばっかりが祐也のこと探してて。あいつは多分、俺と出会ったことすら奇遇だと思ってるに違いない。

 どう考えたってこれは、破局にしか向かわない恋愛だ。

「どうしてダメなんだ?彼女がいるからか?同性だからか?」

 そんなことを聞かれても。

「わからない。」

 俺だってわからないから、どうしていいか、わからないんだ。


 俺の返答に、得に興味もなさそうな声で「ふぅん」とだけ言って、会話は途切れた。興味のなさそうな声に聞こえたけれど、当の本人の俺がどうしていいのかわからないんだから、カズもきっと、どうも出来ないだけなんだと思う。


「よくわかんないこと言って、ごめん。」

 謝った俺の左耳に、バカだなーとでも言いたそうな小さな笑いが聞こえた。



 夜になっても、祐也のことは頭から離れない。

聞いてみたい質問ばっかりが浮かぶ。彼女とはどっちから告白して付き合うことになったのか、男同士で恋愛ってどう思うか、俺のことどう思ってるのか、俺に会いたいって思ってくれたことはあるのか、そんな、絶対に聞けないようなことばかり。

 聞いたら祐也は多分俺から離れていくんだろう。

会って間もないこんなヤツに好意を抱かれて、きっと迷惑してるに違いない。


 しばらく会わないようにしようか。

 そう思っても、元々、時々しか会えないんだから、会ってないのと一緒なのに。

 それにどこへ逃げれば会わなくなるのかも、いまいち、わからない。
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