オレンジ色
 商店街がこんなに長かったなんて知らなかった。

 祐也の身長がこんなに高いなんて知らなかった。

本当は、商店街も祐也も変わってなくて、俺の方が変わってるはずなのに、どこか自分を正当化したくて仕方なかった。


 やっぱり、俺はずるい。


「あのさ、シン。俺が何か気にさわること言ったなら・・・」

 優しいその言葉に。

「別に祐也は悪くない。」

 ただそれだけを返した。返してから、気付いて口をふさいだけど、祐也にはバレた。


「名前で呼ばれるの初めてだ。」


 いつものにっこり笑顔でそう言われた瞬間、商店街が短くなった。

 まだ終わらなければいいって、思った。

「お前も俺のこと名前で呼んでんだから、いいだろ。」

 別に悪いなんて言われてないのに、意地を張った。

「それじゃ、今度から俺も信也って呼ぶね。」

「いいよ、シンで。」

「ダメだよ、平等じゃない。」

 人の名前を呼ぶだけなのに平等じゃないとか、こいつはどこかおかしい。


元々祐也の方が一つ年上なんだし、平等じゃないのに。




 ・・・彼女の次は、歳かよ、俺。
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