オレンジ色
そんなどうでもいいことを考えながら、でも、心のどっかで安心してた。

やっぱりこの近くに住んでいる人だったんだな。ただ、その事実だけでよかった。

 ゲームとかやらないのかな。やらないか、いいとこのおぼっちゃんだし。

ゲーセンで会えれば、すぐにでも友達になれんのにもったいないな、本当に。

 友達になってどうってわけじゃないけど。
 例えば、そんな出会いで始まる友情はどういうものだろうと。
 試してみたい。暮らしに変化が欲しいだけかもしれないけど。

 そんなことを考えながら歩いたオレンジ色の空の下で。

 目の前に迫った自宅の玄関が、何だかいつもと違うドアに見えた。
< 4 / 87 >

この作品をシェア

pagetop