オレンジ色
　ＨＲが終わって、カズに一緒に帰ろうと誘おうとしたら、カズのところに走っていく相沢の姿が見えて、やめた。

楽しそうに話す二人を見て、うらやましくなってくる。

そう思うのが、イヤで、足早に教室を出ようとすると、カズが俺を呼ぶ声が聞こえて立ち止まった。

「シンーっ、帰るのか？俺も帰るよ。」

　振り返ると、相沢を隣に置いたままそう言うカズの姿があって。

「じゃー廊下で待ってっから」

　気を遣うつもりはなかったけど自然にそう答えた。



「お前、いいのかよ。」

　しばらくして廊下に出てきたカズにそう聞いたら。

「何が？」

「相沢と帰ればよかったじゃん。」

　そう言った俺に。

「今日は相沢、多分部活あるからさ。」

　自慢げにカズが答えた。
　お互いの都合は知り尽くしてるような二人がうらやましくて仕方なかった。

そう、とだけ答えて俺は歩き出した。カズも俺の後を軽い足取りでついてきたのだった。
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表紙・目次

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