オレンジ色
 一時間目、世界史。

でも開いてるノートは紅褐色の交換ノート。

とりあえず出だしに『俺も何書いていいかわからないけど、“しんや”は“信也”って書く。次からは漢字で。』って書いた。でもその先が浮かばない。

 “今世界史の授業中です。”って、実況しても仕方ないし。

 “この先生は好きじゃない。”って、書いても仕方ないし。


 考えれば考えただけ全然答えは出て来てくれなかった。


だから、俺のことを書くのはやめよう。別のことを書けばいいのかもしれない。

 例えば祐也への質問を書いてみようか。

彼女と別れたのか、甘い物が好きなのか、あのクレープ屋には別の女の子と行ったりしてるのか。


 …書こうとして、やめた。


 俺が祐也のこと好きなの、バレたくない。


 その時、ふと思いだした。

『俺の顔はそんなにかっこよく見えるのかな。』

 これに返答していない。
 ペンをきつく握った。



『祐也の顔はかっこいいと思う。モテるだろ。あんな可愛い彼女もいたし。
 お前がかっこよくなかったら、2回目会った時、俺覚えてなかったかもしれない。』
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