オレンジ色
「家間違ってたらどうしようかと思ったけど、ちゃんと届いててよかった。」

「信也がひらがなだったけどね。」

「ちゃんと漢字を聞いておくんだった、ってすごく後悔した。」

 祐也がノートを鞄にしまって、カズの方を見た。

 カズが目をぱちくりさせながら、にやりと不適な笑みを浮かべた。


 イヤな予感。


「俺おじゃまみたいだから、先帰ってるわ。」

「お前、ふざけんな。」

 行こうとしたカズの腕をつかんで止めた。

 しばらくカズと俺は目を合わせたまま、それだけで会話をした。

 こういう時、お互い顔に出る性格って得だと思ってしまう。
< 58 / 87 >

この作品をシェア

pagetop