オレンジ色
「シン~、やっぱ今日もダメか?」

 帰りのHRが終わると共に席を立ち上がったカズが俺の肩に手を置いてそう言った。

 別に今日は気分が乗らなくもない。

昨日は何だかおかしな感じだったけど、今日はそうでもない。

「いや、今日は平気だよ。どこのゲーセン行く?」

 ゲーセンは駅前と学校の裏と商店街と…
カズがやりたがってるゲームは新機種だからどこのゲーセン行ってもあるな。

「商店街のゲーセン行こうぜ。最近俺あそこ行ってねーし。」

「改装してから行った?」

「マジで?全然知らねー」

 改装したのが先月の終わり頃だから、本当に行ってないんだな。

 こういう話してると、自分って高校生なんだなって思える。

 そう、俺は高校生だ。

高校生らしく高校生っぽいことして生きていく。それが当たり前の光景なんだと思うけど。

 それって、つまんない。



「どりゃあっくらえ!!」

「うわっやめろよお前っ!」

 ゲーセンの画面に向かってお互い叫ぶ。これぞ青春って感じする。

「抱きつき!」

 投げ技をやるときのキャラの動きが抱きついてるように見えるとかでカズが言い出した言葉。今ではこのへん一帯のゲーセンでみんな使ってる。

「抱きつくなよ気持ちわるいなぁ・・・」

 格ゲーで男キャラ同志が抱き合ってても嬉しくもなんともない。

別にボインのキャラに抱きつかれて嬉しいと思ったこともないけど。投げられるだけだし。
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