オレンジ色
「公立と、きっとそんなに変わらないよ」

「えーっだって私立には不良とかいないでしょー?」

「あはは、全然いなくはないよ。多少はやっぱりいるよ」



 腹立つ。



 さっきから相沢は祐也にばっかり話しかける。

イライラして来てヤケ食いモードに入りたいのに、目の前にあるのは生クリームがいっぱい入ったクレープだけだ。


 一気食いしたら、間違いなく吐く。


 仕方なくイライラは心で止めたまま我慢するしかなかった。

「おい、シン」

 相沢と祐也がしゃべってる邪魔をしないように、小さな声でカズがオレを呼んだ。

 オレが首をかしげて反応すると、

「やっぱり、無理か?オレ食べようか?」

 気を遣ってくれたのだった。

このイライラの状況の中で、オレのただ一つの救いはカズの優しさだったかもしれない。


 オレは首を横に振った。


「もう少し食べてみる」

「おう」

 なるたけ小声でしゃべってたから、相沢にはとても聞こえていないようだった。

相変わらずマシンガントークをしてるけど、どうやら祐也にはちょっと聞こえてしまったみたいで。

「シン、大丈夫・・・?」

 相沢の会話を無視してオレの心配をしてくれたのが妙に嬉しかった。



「ねぇ、ねぇ、祐也さんと星崎君ってどこで知り合ったの?」

 いつまで続くんだかハイテンションのままそう聞かれて、思わず祐也と目を合わせてしまった。

 どこで知り合ったんだろう?

本屋の前と言えばそうかもしれないけど、あの時はまだ知り合いでも何でもなかった。ここまで発展するとも思ってなかった。

 だったらどこからがオレと祐也が知り合えた瞬間だったんだろう。

 オレが悩んで回答出来ないでいると、祐也が先に口を開いた。



「運命じゃない?」



「は?」
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