オレンジ色
始まりは突然なのに、終わりなんてあっけない。

あんなに舞い上がってクレープ屋に行ったのに、二人仲良く帰って行く。


残されたのは、オレと祐也の二人。


二人になれたことにホッとして、祐也を見た。

なのに祐也が、さっきまで笑っていたはずの祐也が。


相沢の背中を見て悲しい表情をしているのを



出来れば見逃しておけばよかった。



 無言のまま、俺たちは歩いた。

無言でいたかったわけじゃなくて、本当はオレは話しかけたかった。でも、祐也の表情がいつもより強ばってるように見えて、話しかけられなかった。


 祐也の態度が突然変わったのは、相沢がいなくなった瞬間からだったような気がする。それまではいつもの祐也だった。

 相沢と何かあったんだろうか。

 でも、祐也と相沢の間に何かあったなんて、考えにくくて。


 想像も出来ない。


 もし、あったとすればいつだろう。ずっと4人でいたはずだ。祐也と相沢の間に、何らかの事件が起こる時間なんかなかったはず…あれ。

 そういえば、オレとカズがトイレに行くって席を立った間は、相沢と祐也は二人きりか。

 …でも、あんな短時間で何かあるとは考えられない。

 その時、ふと、得も知れない不安がよぎった。

 祐也は彼女とそろそろ別れるはずだ。でも、オレにそれは教えてくれてない。

それは、まだ彼女と別れていないという意味なんだろうか。それとも、オレには教えるつもりはないんだろうか。

 教えるつもりがないのなら、聞こうとは思わないけど、でも。


 もし、相沢が祐也を気に入って告白して、祐也がOKしたらどうなるんだろう。


 そんなことはありえないから、それは選択肢からはずすべきだと思う。


 でも、現に祐也は様子がおかしい。


しかもその原因は間違いなく相沢だ。何かイヤなことでも言われたんだろうか。



 考えても考えても、わからなかった。

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