オレンジ色
6.最後のオレンジ色
ボーっとしてたらもう日が暮れた。

何を考えてたわけでもなく、空っぽだった。



相沢に悪いことをした。
カズにも悪いことをした。


それはちゃんと解っているはずなのに。

今考えなければいけないことは、それのはずなのに。


それでも相沢と祐也の間に何があったのか。
そればかりが気になって仕方なかった。


「ー…もしもし。星崎ですけど」


『えっ…シンか?』

 夜。どうにも耐えられなくて、カズに電話をした。

電話取っていきなり怒られたらどうしようとか、馬鹿なこと考えてびくびくしてかけたけど、カズがそんな奴じゃないことは、心のどっかで解ってた。

 驚いたような声で、オレの名前を呼んでくれた。

 だから、オレも。

「昼間はごめん」

 素直に謝った。

『お前、本当に悪いと思ってるか?』

「…うん」

『オレは別にいいんだけど。あの後、授業始まっても相沢ずっと、泣いてたんだぞ』

 …え。

 オレ、そんなに怖がらせてしまったんだろうか。

『井崎さんが、なんとか宥めてたから大丈夫だと思うけど。オレに謝る前に相沢に謝れよ』

 井崎さんは小学校の頃からの相沢の親友だ。

 その井崎さんが宥めてたってことは、立ち直っては、いるんだろうな。

「でも、オレ…」

『だいたい、今日のお前おかしいよ。何があったんだよ』


 何が。


 何があったのかをカズに話そうと思い浮かべただけで、また腹が立ってきた。



でも、またカズを傷つけるのはイヤだったから、一度だけ大きく深呼吸をした。
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