オレンジ色
『今はシンと一緒に見てるから、明るく見える。』



 オレンジ色の空から、いつかの祐也の声が聞こえた気がした。


 机の上に紅褐色の表紙のノートを広げてシャーペンを握りしめた。

 本当は書く気なんかなかったけど、小学校の頃のことを書こうと思った。

初めてオレンジ色の空を見た日のこと。泣きながら見たオレンジ色の空。笑いながら見た、オレンジ色の空。


 そして、祐也と見たオレンジ色の空と、今見ているオレンジ色の空。


 ノートの行を埋めて、外を見たら、オレンジ色の空が少し、紫色に染まり駆けていた。



 ダメだ。まだ夜になっちゃダメだ。



空がオレンジ色の間に、祐也に会いたい。出来れば今すぐ。



 ノートを投げ入れるようにしまって、教室を飛び出した。
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