オレンジ色
「うわ、見てみろよ、あっち。」

 ポテトを口に詰めながらカズが指さした。

「何?」

「おぼっちゃま高校だぜ、あいつら。おぼっちゃまでもFFとか入るんだな~」


 紺の制服。E高だ。


 咄嗟に俺は見慣れた顔を探した。10人ぐらいはいる。部活か何かの帰りだろうか。

その10人ぐらいの顔を懸命に見ようとするが、視力の悪い俺にはほとんど鮮明には見えなかった。

仕方なく向き直って、ドリンクを飲んだ。

「誰か探してたのか?」

「いや、おぼっちゃまの顔を拝んでやろうかと思ったんだけど。見えなかった。」

「あ~お前視力悪いもんな。コンタクトにすりゃいいのに。」

 コンタクト…

「目に物入れるなんて怖くて出来るかよ。」

 入れてる人見てるだけでもゾッとするのに、自分でなんか出来ない。


俺がよっぽどイヤそうな顔をしたのか、カズは俺の顔を見ながら笑い出した。



 そんなバカ話をしてたら、俺たちの後ろの席にE高のヤツらが座った。

さすがに10人もいると机一つじゃ足りなくて空いてる机くっつけたり、イスを運んだりしてた。

 それを横目で見ながら別に協力するでもなく、ただ、カズと他愛もない話をした。

「・・・だけど~…だから、お前は・・・」

 後ろのヤツらの話がちょっと気になって耳を傾けたけど、何人もがいっぺんにしゃべっててどうも聞き取れない。カズを見たら、カズも同じことをしていた。

「ちょっと聞いてみようぜ、後ろのN高生にさ。それが早いって!」

「あ、聞いちゃう?いいよ?」

 一番ノリの良さそうなヤツの言葉に、俺の真後ろにいるヤツが返答した。

何を聞かれるんだ?後ろのN高生ってのは間違いなく俺達のことだろう。他にはいない。
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