オレンジ色
 俺は席を立ち上がって鞄を抱えた。

鞄を持つ手は震えてるし、今にもこぼれそうな涙は胸のあたりまで来てるし。

声を発したらもうボロボロ泣きそうで、足もガクガク震えてて、話しにならないくらい、冗談じゃないと思うくらいに、もうわけがわからなくなってた。



 でも、それでも。



「お前、カズと付き合ったらいんじゃないか?あいつ、意外となぐさめるのとかうまいよ」

 俺はそう言い捨てて、まっすぐ歩けない足で、それでも駆け足で教室を出た。
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