生まれたての放課後。







──────高校1年生の、冬。


の、席替え。





大変なことに。


わたし茶倉ちとせ(さくら ちとせ)は、なんとあの渡辺宏(わたなべひろむ)くんの隣の席になってしまったのでした。




「……………」



「お、隣 茶倉? よろしく」

「……よ、よろしく!」



友達と楽しそうにしながら机を移動させる宏くんを横目に見ていると目があって。


……わたしの名前、知ってるんだ。

っていうのが 第一に思ったことだった。




宏くんと言えば爽やかで人気者で、クラス学年問わず友達がいっぱいいて、頭も運動神経もよくて人当たりもよくて……!

そんな、いつもみんなの中心にいるひと。



引き換えわたしは、とくに目立つこともなく大人しく、クラス大半から名字にさん付けで呼ばれてる、みたいな。

クラスに必ず一人はいる真面目な子。




まさかあんなに人に囲まれてる宏くんが、わたしの名前まで把握してるとは思わなかった。







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